Date: 1月 19th, 2012
Cate: iPod
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ある写真とおもったこと(その9)

2001年秋にiPodの初代機が登場したとき、驚いたのはその価格に関することだった。
最初のiPodは5GBのハードディスクドライブを内蔵していて、47800円だった。
当時、他社からいくつものMP3プレーヤーが出ていて、iPodはどちらかといえば高価な方だった。

47800円が高いのか、安いのかは、人によって感じ方は異っていただろうが、
私が驚いたのは、iPodに搭載されていた東芝製の1.8インチのハードディスクドライブが、
ちょうど同じころ秋葉原のパソコンのパーツ店に並びはじめていて、
その価格がiPodよりもわずかとはいえ高価だったことだ。

価格には流通経路の違いも反映されるものだから、Appleが製造元の東芝から直接仕入れる価格と、
一般ユーザーが小売店から購入する際の価格は大きく異ってくるのは理解できる、とはいうものの、
iPodのほうが、内蔵されているパーツよりも安価だということは、すぐにはその理由は理解できなかった。

しかもこの初代機から第三世代のモデルまでは裏側はステンレスを磨き上げたものが使われていた。
新潟の会社で研磨されていたものだ、と当時話題になっていた。
iPodは外装に安っぽさはない。
それに液晶画面がついていて、操作のためのホイール機構があり、イヤフォンも付属してくる。
それでも、東芝の1.8インチのハードディスクドライブよりも安かった。

なぜ、こういう価格が実現できるかがわかるには、私の場合、そこそこの時間を必要とした。

iPodの初代機の流れを汲むiPod classicは、現在160GBまで容量が増え、液晶画面もカラー、
音楽の連続再生時間も10時間から36時間に増え、価格は20900円と半分以下にまで下っている。

仮にiPodをApple以外の会社が発売していたら、どういう価格づけになっていたであろうか。
会社の規模、それに関係してくる生産台数によって、
まったく同じ仕様のモノでも価格は2倍程度ではすまなかったはず。

iPodがこれまでどれだけの数、製造され販売されてきたのかは知らないが、
相当な数であることは、電車に乗って周りを見渡したり街中を歩いていれば、すぐに想像できることである。
それだけの数を売るからこそのiPodの価格であり、これだけの数を売ることを前提としているからこその価格。
そう考えたとき、iPodは、スティーブ・ジョブズによる共通体験の提供、そのためのツールだと確信できた。

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