Date: 12月 31st, 2011
Cate: 岩崎千明, 瀬川冬樹
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岩崎千明氏と瀬川冬樹氏のこと(その7)

私がステレオサウンドを読みはじめたころにはっきりと存在していたものが、いまはいくつもなくなっている。
そのひとつであり、これがオーディオ評論をつまんないものにしていることに連がっていると思うのは、
オーディオ評論家同士の「関係」である。

このことは別項の、『オーディオ評論家の「役目」、そして「役割」』でもこれから先書いていくが、
私が夢中になってステレオサウンド(だけではない、ほかのオーディオ雑誌)を読んでいたころは、
それぞれのオーディオ評論家が、オーディオ評論家としての役目とともに、それぞれの役割をきちんと果していた。
表現をかえれば、ステレオサウンドに執筆していたオーディオ評論家のあいだにはライバル関係が成り立っていた。

このことはステレオサウンドを数号読んでいれば、すぐに気がつくことであった。
中学生の私でも、すぐに気がついたことであり、それゆえにひとりひとりの「言葉」が鮮明になっていた。
いまは、どうだろう……(これに関しては上記の別項で書いていくので、このへんにしておく)。

瀬川先生と菅野先生がライバルであること、は、中学生の私にもすぐにわかった。
菅野先生自身、ステレオサウンド 61号に
「僕にとって瀬川冬樹という男の存在は、後輩どころか、最も手強いライバルであると同時に、
相互理解のもてる仲間同士であったと思う。」
と書かれている。

ほんとうにそのとおりだと思う。
だが後になって気づくのは──それもずいぶん後になってなのだが──、
瀬川先生と岩崎先生も、
菅野先生が瀬川先生について語られたのと同じ意味でのライバル同士であった、ということだ。

相互理解のもてる仲間同士であり、最も手強いライバル──、
岩崎千明にとって瀬川冬樹がそうであった、瀬川冬樹にとって岩崎千明がそうであった、
と、いまは強く確信している。

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