岩崎千明氏と瀬川冬樹氏のこと(その5)
マランツのModel 7のパネルデザインに言及していた人が、もうひとりいたのを知ったのが、
ほんの2年ほどの前のことである。
書かれていたのは岩崎先生だった。
シンメトリーをほんの少し、絶妙といえるバランスでくずしているからこその美しさ、と書かれていた。
正直驚いた。瀬川先生よりもずっと前に、同じことを書かれていた。
岩崎先生はデザインの専門家ではなかったはず。
(いまのところ瀬川先生がマランツModel 7のパネルデザインについて書かれた、古いものはまだ見つけていない。)
岩崎先生の文章を見つけたとき、驚きだけでなく、なぜ? もあった。
そして、そういえば、と思い返すことがあった。
岩崎先生は大音量というイメージがあるため、そのためのスピーカーとしてJBLのD130、パラゴン、
ハーツフィールド、ハークネス、エレクトロボイスのパトリシアンなどが結びついているけれど、
D130の前に使われていたのは、グッドマンのAXIOM80である。
ここから、岩崎先生と瀬川先生の共通点が、じつはあることに気づいたわけである。
瀬川先生といえば、リスニングルームを横長に使われる。
つまり長辺の壁側にスピーカーシステムを設置される。
私も、ずっとこのやり方をとおしている。
実は岩崎先生も、この設置方法の良さを古くから説かれている。
また、えっ、と思う。
そして、ステレオサウンド 43号の岡先生が書かれた追悼文にもどる。
そこには、こうある。
「とてもセンシティブで心優しい感じだった」と。