「オーディオ」考(その10)
タンノイのRHRを聴くとき、サランネットは、ではどうするか。
どちらでもいい、と思う。
聴く音楽によって付けたり外したりしてもいいし、音量によっても付けたり外したりして、
自分によって、そのときの自分にとって好ましい方をその都度選択していく、という使い方でいい、と思う。
それに鳴らしはじめのころと、使い始めて1年後、3年後、5年後、10年後……によっても変ってくる。
かたくなにどちらに決めてしまって使うよりも、その方がいい。
サランネットの脱着は簡単に行えるし、RHRはフロントバッフルも仕上げてあるから、
サランネットを外した状態でも外観的に気になるわけでもない。
ではオリンパスは、どうかというと、これはもうつけた状態で聴くしかない。
組格子を外した状態の音が、付けたときの音よりもずっとずっと好ましいとしても、
オリンパスというスピーカーシステムを使うのであれば、あの組格子は外したくない。
組格子を外したオリンパスの外観も、精悍といえなくもないが、
それでもオリンパスは組格子付きの状態こそがオリムパスというスピーカーシステムを成立させている。
オリンパスを組格子なしで聴くのであれば、
いっそのこと、ほかのスピーカーシステムにした方がいいとさえ、私は思う。
そう私に思わせるのは、オリンパスに家具的側面を強く感じているから、でもある。
オリンパスを使ったことはないし、これから先も自分のモノとして使うことはないはずだ。
それでも、もし使う機会がおとずれたとしたら、オリンパスを家具として映える位置に設置するだろう。
そこが音的にはあまり芳しくないとしても、
オリンパスというスピーカーシステムの正しい使い方のひとつ、と思えるからだ。
使い方と使いこなしは似ているようで、違う。
オリンパスは、家具的側面のない現代のスピーカーシステムのようには、角度を付けて設置したくはない。
つまり聴取位置に向けて内側に振りたくはない。
まっすぐ向くように設置したい。
理由は前述しているとおり、映えるようにしたいからだ。
ステレオ再生のために2台のオリンパスをどう設置するのが、もっとも映えるのかを考えれば、
私にとってのオリンパスの設置はこうなってしまう。
そして内側に振るのをやめるだけでなく、
できるだけ左右に広げて、それも部屋のコーナーぎりぎりまでに寄せた方が、より収まりがいいはずだ。