Date: 11月 21st, 2011
Cate: Noise Control/Noise Design
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Noise Control/Noise Designという手法(その20)

1980年代、日本のオーディオにおいて特徴的だったことのひとつに、
いわゆる598(ゴッキュパッ)とよばれたスピーカーシステムのブーム(とよんでいいのだろうか)があった。

きっかけとなったのはオンキョーのスピーカーシステムだったはず。
これに触発されて、他のメーカーも59800円のスピーカーシステムの開発に、
この価格の製品としては驚くほどの物量を投じていた。
毎年どこかが改良されて新製品となっていく。しかもそのたびに重量が増していった……。

ユニット構成はどれも30cm口径のウーファーに、ドーム型のスコーカー、トゥイーターによる3ウェイ。
しかもエンクロージュアの両端にR(アール)をつけたラウンドバッフル仕様だった。

スピーカーの教科書には、ラウンドバッフルは指向特性の改善のため、とたいてい書いてある。
たしかに指向特性は改善するものの、
598のスピーカーシステムに採用されていたラウンドバッフルではRが小さ過ぎる。
実際のところ、この程度のラウンドバッフルでは指向特性の改善には意味がない、
とまではいわないものの、それほど大きな効果は期待できない。
指向特性の改善を目的とするのであれば、ダイヤトーンの2S305程度のラウンドバッフルが必要となる。
なのになぜ各社は手間をかけてまでラウンドバッフルにしていたのかは、
聴感上S/N比を高めるためである。

ピストニックモーションのスピーカーシステムの理想として、
スピーカーユニット以外からの音は消し去りたい、というのがある。
振動板がピストニックモーションによって音を放射するわけだが、
振動板以外のところからも音はいくつも出ている。振動板を囲むエッジからも音は出ているし、
何度か書いてきたようにフレームからも、それをエンクロージュアに固定しているネジの頭からも、
それにエンクロージュアからも、とにかくありとあらゆるところからいろんな音が出て、
振動板からの音と混じりあっているのが現状である。

エンクロージュアからもいろんな音が出ている。
フロントバッフル、側面、天板、リアバッフル、底板といった面からの輻射もあれば、
エンクロージュアのコーナー、角から輻射されている。
この角が丸く仕上げられているだけで、輻射の量も性質も変化していく。
できればすべてのコーナー、角を丸めたい(ラウンドバッフルにしたい)ところだが、
いちばん耳につくフロントバッフルの両端を処理している。

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