Noise Control/Noise Designという手法(その19)
初期のCDプレーヤーのなかには、
ごく一部の機種でデジタル特有のジュルジュルといった感じのノイズを発生するものがあったが、
耳にはっきりと聴こえるノイズを出すプレーヤーは全般的にはない、といえた。
カタログ発表値でも90dB以上となっていた。
CDプレーヤーでは、アナログプレーヤーでMC型カートリッジを使用するときに、
ときとして悩まされるハムも発生しないし、
ハウリングの問題も、原則としてない。
だからアナログプレーヤーのように置き場所、置き台など設置の仕方で苦労することなく、
スクラッチノイズ、サーフェイスノイズ、ハム、ハウリング、こういったものから解放されていた。
けれどその反面、アナログディスク再生についてまわるノイズが、はっきりと耳で聴きとれるのに対して、
CDプレーヤーではノイズを発生していながらも、そのノイズは直接聴きとれないことが徐々にはっきりとしてきた。
CDプレーヤーは高周波ノイズを発生している。
自らがノイズ発生源であり、その発生させたノイズによって音質劣化を起している。
いわば自己中毒のようなものであり、高周波ノイズは他のオーディオ機器へも悪影響を与えている。
けれど、CDプレーヤーが発生させているノイズは、
アナログディスクのスクラッチノイズのように直接耳で聴くことはできない。
あくまでも間接的に聴いていることになる。
つまり直接聴こえないノイズが、聴感上のS/N比を悪化させている。
このことが広く知られるようになったと同じころ、
スピーカーシステムに関しても、不要輻射ということがいわれるようになってきた。
CDプレーヤーが発生させていたノイズも不要輻射であり、
これとほぼ同じ意味あいで、スピーカーシステムの不要輻射についても注目されるようになってきたのが、
1980年代の半ば以降の、日本製品についていえる大きな傾向である。