Date: 11月 21st, 2011
Cate: Noise Control/Noise Design
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Noise Control/Noise Designという手法(その21)

エンクロージュアの両端の角張ったコーナーからの不要輻射は、
直接耳ではっきりと聴きとれるわけではないけれど、音場感の再現性においてはほかの条件がまったく同じであれば、
小さなRではあってもラウンドバッフルの方が有利なのは確かなことである。

ラウンドバッフルは、スピーカーシステムの不要輻射を減らす、いくつもある手法のひとつである。
CDが登場して、この不要輻射の問題ははっきりとクローズアップされてきた。
吸音材の材質についてもそうだし、ハードドーム型の振動板を保護するための金属性のネットのつくりにもいえる。

バスレフポートもそうである。
バスレフの動作は、エンクロージュア内の空気のバネ作用を利用して、
ウーファーからの背面の音の位相を反転させてポートから放射する。
ウーファーの振動板が前に出れば、バスレフポートからも空気が押し出される。

ただしこれはあくまでもバスレフポートの共振周波数において、である。
ポートが、仮に40Hzに設定されていたとする。
40Hzの音に関しては、位相反転型が示すようにウーファーとポートの位相はあっている。
だがポートからは40Hzの音だけが出るわけではない。
40Hzがピークであって、40hzより上の帯域も下の帯域もなだらかにレスポンスは下りながらも放射されている。
40Hz以外の周波数に関してはウーファーとの位相がズレてくるわけである。

つまりバスレフポートから40Hzの音が出ているとき、同時にそれ以外の周波数に関しては空気を引き込んでいる。
40Hzの信号がウーファーに加わって振動板が前に動く。
それと伴ってバスレフポートからも40Hzの音が中心となって放射される。
けれど音楽信号は40Hz以外の周波数も含んでいる。
スピーカーシステムは音楽を鳴らすモノであるから、
バスレフポートの空気の流れはウーファーの振動板の動きに追従しているだけではない。

バスレフポートの空気の流れに関しては、1980年代の終りごろに、
ダイヤトーンかヤマハのどちらか、もしくは両社が解析していて、
つねに空気の出入れが同時に起っているがわかっている。

中心の大部分から音が放射されているとき、
その空気の流れとポートの内側壁面とのあいだでは逆方向に空気が流れている。
バスレフポート内で空気がすれ違っているわけだ。

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