Date: 10月 5th, 2011
Cate: アナログディスク再生
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私にとってアナログディスク再生とは(その39)

ケイト・ブッシュの12インチ・シングルがもつ音のよさは、聴くたびに魅了されていくところがあった。
これは人によって異ることなのかもしれない。
私が12インチ・シングルに感じていた良さを、
とくにアナログディスク再生において重要視されない方もいて不思議ではない。

アナログディスクは、こう再生されなければならない、というものではない。
それは私というひとりの中にも、EMT・927Dst的世界でのアナログディスクの再生と、
ノッティンガムアナログスタジオのAnna Logで求めたい世界とが、両極としてあるのだから。

12インチ・シングルのように、33 1/3回転の通常のLPを鳴らしたい、
そういうふうに鳴らしてくれるアナログプレーヤーはなると、これはもう927Dstにしか、私にはなかった。
それまで使ってきた930st(トーレンス101 Limited)に、大きな不満があったわけではないし、
むしろ非常に満足して使っていた。
それでも930stで聴いた12インチ・シングルの音は、
それだけの魅力をもっていた──、927Dstを購入させるほどの魅力と力を。

927Dstの音は、930stと比較してもなお底力の凄さを感じさせる。
この底力を土台として音が構築されているから、フォルティッシモで音が伸びていくとき、
通常のアナログプレーヤーよりも、グンという感じで、その先に音が伸びる。
それは伸びきる、といいたくなるほど、ひとまわりもふたまわりもの違いがある。

一枚のアナログディスクから得られるエネルギーの総量が、
927Dstではあきらかに増大している、そんな印象を聴くたびに受ける。
再生するアナログプレーヤーが変っても、レコード(アナログディスク)そのものは変化するわけではない。
だから、927Dstで、明らかにエネルギーとして感じとれる、聴こえてくる要素は、
実のところ927Dstがつくり出している要素、といえないこともない。

そう考えることもできるし、他のアナログプレーヤーが十全にディスクから拾い出していない、ともいえなくもない。

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