オリジナルとは(その17)
音の入口となるオーディオ機器には、アナログプレーヤーの他にチューナーやテープデッキがある。
ここではアナログプレーヤーとテープデッキの比較について書いていくが、
テープデッキ(オープンリールデッキ、カセットデッキ)では、
アナログプレーヤーのような豊富なアクセサリーはなかった。
テープデッキ関係のアクセサリーといえば消磁器、ヘッドクリーナーが、パッと浮ぶ。
これらは音を意図的に変える類のアクセサリーではなく、メンテナンスに必要なアクセサリーであって、
消磁器やヘッドクリーナーを使うことによって音の変化はあるが、
それらヘッドが磁化したり汚れていたりして、
本来の性能を出し切れていなかったものを本来の状態に戻した結果の音の変化であり、
アナログプレーヤーにおいてシェルリード線を交換して音が変化した、というものとは性質が異る。
テープデッキではヘッドが、アナログプレーヤーのカートリッジにあたる。
トーンアームが、テープデッキではキャプスタンやピンチローラーなどの走行メカニズムといえるだろうし、
モーターは、アナログプレーヤーにもテープデッキにもある。
アナログプレーヤーでは、これらがバラバラに売られているが、
テープデッキではそういうことはない。
どちらもデリケートな器械であるにも関わらず、アナログプレーヤーとテープデッキは、やや違う途を歩んできた。
一時期、マランツのModel 7やマッキントッシュのC22、ダイナコの管球式のアンプ、
それからトランジスターのものではJBLのSG520には、テープヘッド用の入力端子がついていた。
それぞれのアンプで端子につけられている名称は違うが、
テープデッキの再生ヘッドの出力を直接受けるためのもので、
イコライザーカーヴも、フォノイコライザーアンプのRIAAカーヴを切り替えることで対応していた。
つまりある一時期、テープデッキの再生ヘッドに関しては、
アナログプレーヤーのカートリッジ的な扱いをされていた。
けれど、それは長く続くことはなく、
その再生ヘッドに最適に合せた再生アンプがテープデッキ側に搭載されるのが当り前となり、
アンプ側からTape Head端子は消えていった。