Date: 8月 22nd, 2011
Cate: Bösendorfer/Brodmann Acoustics, VC7
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Bösendorfer VC7というスピーカー(その21)

どこかのピアノメーカーが、鉄フレームとアルミフレーム以外は、
あとはまったく同一というピアノをつくってくれて、その比較試聴ができればいいのだけれど、
そんなことをやるピアノメーカーはないから、
想像で書くしかないのだが、おそらくアルミフレームのピアノと鉄フレームのピアノとでは、
響きの芯の確かさ、と表現したくなる要素が大きく違ってくるのではないだろうか。

どんな材質にも、その材質特有の固有音がある。
固有音のないものは世の中には存在しないし、鉄には鉄ならではの固有音があり、
アルミニウムにはアルミニウムならではの固有音があり、
固有音をうまく音に活かせれば、いい意味での個性になり、
扱い方をあやまるとクセとなり、耳につきわずらわしく感じられることになる。

鉄とアルミニウムは、オーディオにもっとも多く、長く使われてきている金属の代表でもある。
見た印象が鉄とアルミニウムとは違うし、叩いたときの固有音も似ているとはいえない。
それにアルミニウムは非磁性体、鉄は磁性体という、ピアノでは関係ない要素も、
オーディオには音に関係してくる要素となる。

いまでもそうだがプロ用の器材には、鉄板のシャーシのものが意外と多い。
コンシューマー用のオーディオ機器のようにアルミニウムを贅沢に使ったものはほとんどない、といっていいはず。

以前、井上先生からきいた話だが、プロ用器材に共通する開放感がある音は、
アルミニウムでがっちりつくってしまうと、意外にどこかにいってしまう、ということだった。

それに鉄とアルミニウムとではシールド材としても違う性格がある。
シールドできる周波数帯域が、鉄とアルミニウムとでは異る。
より広い帯域のノイズをシールドしたければ、どちらかひとつに絞るのではなく、
複数の金属をうまく組み合わせたほうがいい、ということだ。

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