Date: 8月 21st, 2011
Cate: Noise Control/Noise Design
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Noise Control/Noise Designという手法(その17)

「聴感上のS/N比」は、いまでは誰もが使う表現になってしまった。
私の知る限り、「聴感上のS/N比」という表現を最初に使われたのは井上先生で、
ステレオサウンド 39号に出てくる、ということは、別項「井上卓也氏のこと(その21)」に書いた。

もう一度ここに引用しておく
     *
聴感上のSN比とは、聴感上でのスクラッチノイズの性質に関係し、ノイズが分布する周波数帯域と、音に対してどのような影響を与えるによって変化する。物理的な量は同じようでも、音にあまり影響を与えないノイズと、音にからみついて聴きづらいタイプがあるようだ。また、高域のレスポンスがよく伸び、音の粒子が細いタイプのカートリッジのほうが、聴感上のSN比はよくなる傾向があった。
     *
最後のところでカートリッジについてふれられているのは、
ステレオサウンド 39号がカートリッジの特集号であったからだ。

音にあまり影響を与えないか、音に絡みつくかは、ノイズそのものの周波数スペクトラムも関係しているが、
モノーラル再生ではなくステレオ再生においては、
ノイズそのものが2つのスピーカーシステムのあいだにどう分布しているのか、
つまりノイズか中央にしっかりと定位しているものもあれば、さーっと広がるように分布しているものある。

ステレオサウンド 39号は1976年に出ている。
当時はCDはまだない。デジタル録音(PCM録音)のLPが話題になっていた時期で、
アンプのS/N比も、すべてが優れていたわけではなかった。

そういう背景をもって、「聴感上のS/N比」は生れてきている。
この表現から6年後、CDが登場し、「聴感上のS/N比」が意味するところも変化していっている。

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