井上卓也氏のこと(その21)
私もよく使う「聴感上のSN比」。
この言葉をもっともよく使われ、おそらく最初に言われたのも井上先生であろう。
頻繁に使われ始められたのは80年代にはいってからだが、
いつごろから使い始められたのかは、はっきりとは知らない。
いまのところ、私が知っているかぎりでは、ステレオサウンド 39号(1976年発行)に出てくる。
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聴感上のSN比とは、聴感上でのスクラッチノイズの性質に関係し、ノイズが分布する周波数帯域と、音に対してどのような影響を与えるかによって変化する。物理的な量は同じようでも、音にあまり影響を与えないノイズと、音にからみついて聴きづらいタイプがあるようだ。また、高域のレスポンスがよく伸び、音の粒子が細かいタイプのカートリッジのほうが、聴感上のSN比はよくなる傾向があった。
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いまのところ、これより前に「聴感上のSN比」という言葉は見つけていない。