チューナー・デザイン考(その5)
私のチューナーに対する関心度の低さを表していることが、
チューナーの中に、絵を描けるモノがひとつなかった、ということがあげられる。
スピーカーシステムにしろ、アンプにしろ、プレーヤーにしろ、
憧れのオーディオ機器は細部まで記憶しているし、絵のうまい下手は措いとくとして、記憶だけで細部まで描ける。
そういうふうに描けるオーディオ機器はいくつもあるのに、チューナーに関してはなかった。
使っていたMR71ですら、きちんと描くことはできない。
とはいっても大まかな構成については記憶しているので、なんとなくそれらしきものは描けても、
細部の記憶となると、まったくだめである。
つまりそれだけチューナーへの関心は低かったわけだ。
1980年代のおわりからFMの多局化がはじまった。
でもそのころにはすっかりチューナーは、私のオーディオのシステムにはもうなかった。
FMを聴くためにチューナーを購入しようという気もまったくなかった。
それがずっと続いてきていた。
もうひとつ、チューナーのデザインについても、なめていたところを持っていた。
所詮、チューナーは横に長い受信周波数の表示された表示とメーター、チューニングダイアル、
大ざっぱにいえばこれらからなり、これらによるデザイン上の制約が大きいし……、
愚かにもそう捉えていたことも、正直にいえば、あった。
チューナーのデザインは、実際にはそういうものではないということには気づくものの、
それでもチューナーへの関心が高まることはなく、ここまできたのが、私の中では反転してしまった。
なにかきっかけといえるものがあったわけでもない。
コントロールアンプについて考えていたときに、
これから先のコンピューターとの融合についてなんとなく思っていたときに、
チューナーの在り方について考えていくことが答えになるのではないか、と思いついたからだ。