私にとってアナログディスク再生とは(その13)
ベルトドライヴは、モーターの振動をベルトを介することによって
ターンテーブル・プラッターに伝わらないようにできることがメリットとされている。
つまり機械的なフィルターが構成されているからである。
この機械的なフィルターを電気回路に置き換えてみると、
モーターとターンテーブル・プラッターの慣性モーメントはインダクタンスに相当し、
ベルトの弾性はコンデンサーになり、ローパス(ハイカット)フィルターを形成していることになる。
このローパスフィルターのカットオフ周波数(共振周波数)は、
モーター、ターンテーブル・プラッターの慣性モーメント、
ベルトの等価スティフネス、それにモーターのプーリーとターンテーブル・プラッターの半径によって決る。
ローパスフィルターだから、これらの要素によって決定される周波数以上の振動成分は、
ターンテーブル・プラッターには伝わらない、ということになる。
つまり共振周波数(カットオフ周波数)をできるだけ低く設定できれば、それだけSN比を高くすることができる。
実際にはベルトを柔らかくし、モーター、ターンテーブル・プラッターの慣性モーメントをできるだけ大きくして、
モーターのプーリー、ターンテーブル・プラッターを小さくすればいい。
ターンテーブル・プラッターの径はレコードの大きさが決っている以上、30cmよりも小さくするわけにはいかない。
だがリンのLP12、トーレンスのTD125、TD126のように二重ターンテーブル構造にして、
インナーターンテーブルにベルトをかけるという方法で、これは実現できる。