ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(その50)
線の細い音が好きなんだ、と思いながらも、ロジャースのPM510の音を聴いたときには、まいった。
「欲しい!!」と強く思っていた。
その強さは、はじめて4343を聴いたときに感じた「欲しい」よりも、ずっと強いものだった。
PM510は図太い音では決してないけれど、だからといって線の細い音、
マークレビンソンのLNP2に通じるような線の細さを持っているかといえば、そうとはいえない。
スペンドールのBCIIも聴いた時にも「欲しい」と思っていたけれど、
PM510のときは、BCIIのときよりも強い。
線の細さでえいば、BCIIのほうが細いといえるのに。
このとき(1981年)は、PM510にこれほど惹かれているのは、PM510の音色であって、
それはつまりBBCモニター系列のスピーカーシステムに共通して流れているもので、
開発の時代は違えどもBCIIにもそれはもちろんあり、PM510を「欲しい!!」と思わせたのは、
この音色の魅力のはず、と思っていたし、その後もしばらくそう思いつづけていた。
PM510を「欲しい!!」思ったのは、実は音色ではなく、他に理由があったことに気づくのは、
PM510を手離して、シーメンスのコアキシャルにして、セレッションにSLを使い、QUADのESLと続いて、
その後にやっと気がつく。
そのことに気づいたからこそ、今年の1月1日に書いた「BBCモニター考(特別編)」──、
瀬川先生のロジャースPM510についての「メモ」にある「欲しい!!」がどういうことなのか、が、
私なりにではあるけれど、わかってくる。