BBCモニター考(余談・続×十四 K+Hのこと)
C-AX10の資料を眺めていると、C-AX10は、1999年のデジタル信号処理によって、思いつく信号処理のなかで、
できうるかぎり、やれることはやってみようというコンセプトから生れてきたように感じる。
そのために、どうしてもハードウェアが、ソフトウェアよりも前面にきている印象につながってしまう。
汎用のデジタル・コントロールアンプという形態を考えると理解できることというものの、
そのことがC-AX10の寿命に短さと関係している気もする。
K+HのO500Cはスタジオモニターとして開発されている。
O500Cに採用されたデジタル信号処理はそのために使われている。
ソフトウェアによって使用目的を特化することによるハードウェアの積極的活用例が、O500Cだと思う。
コントロールアンプとアクティヴスピーカーシステムという、異る形態ゆえに果してしかたのないことだろうか。
C-AX10のFIR型デジタルフィルターは、いわばパイオニアのスピーカーシステム専用といえるものだ。
なのに汎用性をどこかに残してしまっている印象が拭えないところがある。
O500Cのように踏み込んでパイオニアのスピーカーシステムの特性を積極的にコントロールすることで、
O500Cと同等の特性を得ることはけっして無理なことではなかった、と思ってしまう。
ハードウェアは文明で、ソフトウェアは文化である、という喩えをきく。
デジタルの技術が進歩し浸透すればするほど、オーディオ機器というハードウェアの寿命を左右するのは、
ソフトウェアなのではないだろうか。