BBCモニター考(余談・続×五 K+Hのこと)
C-AX10のデジタルディバイディングネットワークにおけるIIR型とFIR型の音を比較するためには、
だからパイオニアのスピーカーシステム、たとえばExclusive 2404を用意しなければならない。
どれだけの人が、デジタルフィルターのふたつの方式の違いを比較試聴できたかというと、わずかかもしれない。
私も聴けなかった。
だからステレオサウンド 133号に載っている井上先生と朝沼さんの対談による記事を参考にするしかない。
朝沼さんはFIR型にしたときの音をこう語られている。
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非常に静かなんです。それから、音像定位と音場感がもっと精密になって、明確に録音の意図が分かる。未体験ゾーンを味わったという感じですね。
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井上先生はというと、
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これは今までにない音ですよ。デジタルで初めて体験できる音。だから、どう捉えたらいいか……。
録音側も、このリニアフェイズの FIRでモニターしてくれないと、録音モニターと再生モニターの相関性がなくなってしまうんです。そこまで考えないと簡単には言いきれない、何かとてつもないものを持っているんですよ。
(中略)この音を聴くと、そういう問題を提起させながら、これからオーディオは、また面白くなりそうな感じがしますね。
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この記事は書き原稿ではなく対談のまとめだから、断言はしにくいけれど、
私の編集経験からすると、井上先生がこれだけのことを発言されているということは、
C-AX10の可能性、つまりFIR型のデジタルディバイディングネットワークの可能性、それがもたらしてくれる、
これから先のオーディオの楽しみ、おもしろさについて感じとっておられることは伝わってくる。