パッシヴ型フェーダーについて(その9)
CDプレーヤーが登場し、ある程度普及したころから、
パッシヴ型フェーダーについて語られるようになり、製品もいくつか出てきた。
当時、パッシヴ型フェーダーに対しての否定的なこととしてよく言われていた(書かれていた)のは、出力インピーダンスが高いので、
パッシヴ型フェーダーとパワーアンプ間のケーブルをあまり長くできないが、あった。
当時製品化されたモノのインピーダンスは、たいていが10kΩだった。
けれど10kΩのフェーダーを使ったからといって、
そのパッシヴ型フェーダーの出力インピーダンスが10kΩになるわけではないことは、
少しばかり考えればわかること(はっきりすること)だ。
減衰量によって変動するとはいえ、パッシヴ型フェーダーの出力インピーダンスは、
前段のCDプレーヤーの出力インピーダンスとの兼ね合いで決まるものだ。
それにフェーダー(ポテンショメーターを含めて)は、
プリメインアンプ、コントロールアンプにも使われていて、
ライン入力からの信号は、まず入力セレクターを通り、
レベルコントロール(フェーダー、ポテンショメータ)へと行く。
そしてラインアンプへと接続されているわけで、
ここでもパッシヴ型フェーダーで指摘されていることは当然起こっている。
こう書くと、いや、アンプ内のケーブルは短いから、という人がいる。
確かにアンプ内でのレベルコントロールからラインアンプの入力まではそう長くはない。
そのくらいの長さならば問題は無視できる、とのことだ。
本当にそうなのだろうか。
パッシヴ型フェーダーは、ステレオサウンドの試聴室であれこれ試したことがある。
使い勝手は悪くなるが、パッシヴ型フェーダーをパワーアンプの近くに置き、
パッシヴ型フェーダーとパワーアンプ間のケーブルをかなり短くして聴いたこともある。
この場合、CDプレーヤーとパッシヴ型フェーダー間のケーブルは長くなる。
使い勝手は無視するとして、どちらが好結果が得られたかというと、
私が試した範囲では、CDプレーヤーとパッシヴ型フェーダー間のケーブルを短いした方だった。