BBCモニター考(余談・続々K+Hのこと)
K+HのOL10は当時160万円(ペア)、O92は150万円(ペア)で、
ほとんど価格差はない、といっていい。
どちらも3ウェイのマルチアンプドライブで、
内蔵パワーアンプの型番はO92用がVF92、OL10用がVF10と異っているものの、
ステレオサウンドに掲載されている写真を見るかぎりは、同じもののような気がする。
ユニット構成は、というと、ウーファーは25cm口径のメタルコーンのウーファーを2発、
10cm口径の、やはりメタルコーン型をスコーカーに採用しているのはOL10、O92に共通で、
トゥイーターのみ、O92はドーム型、 OL10はホーン型となっている。
大きな違いはエンクロージュアにある。正面からみれば、どちらも密閉型のようだが、
O92はアクースティック・レゾネーター型と称したもので、
エンクロージュアの裏板を薄く振動しやすいようにしてあり、
中央に錘りをつけてモードをコントロールしてある。
ここが、O92とOL10の音の違いに、もっとも深く関係しているように、
瀬川先生の試聴記を読みなおすと、そう思えてくる。
O92の試聴記には、こうある。
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ただ曲に酔っては、中低域がいくぶんふくらんで、音をダブつかせる傾向がほんのわずかにある。とくに案・バートンの声がいくぶん老け気味に聴こえたり、クラリネットの低音が少々ふくらみすぎる傾向もあった。しかし総体にはたいへん信頼できる正確な音を再現するモニタースピーカーだと感じられた。
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完全密閉型のOL10に対しては、
O92に感じられた2〜3の不満がすっかり払拭されている、と書かれている。
O500CはO92の後継機だが、アクースティック・レゾネーター型ではない、バスレフ型だ。