Date: 5月 2nd, 2011
Cate: オリジナル
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オリジナルとは(その14)

瀬川先生は、よく「オーディオパーツ」という表現を使われていた。
アンプやスピーカーシステム、カートリッジなどをひっくるめて、オーディオ機器、とはいわずに、
オーディオパーツといわれていた。

アンプにしろ、スピーカーシステムにしろ、なにがしかのオーディオ機器を買ってくるという行為は、
完成品を買ってきた、とつい思ってしまう。
でも、いうまでもなく、アンプだけでは音は鳴らない。スピーカーシステムだけでも同じこと。
以前ならカートリッジ、プレーヤーシステム、アンプ、スピーカーシステムが、
いまならばCDプレーヤー、アンプ、スピーカーシステムが最低限、音を出すためには必要となる。

つまりCDプレーヤー、アンプ、スピーカーシステムが揃った状態、
つまり音を出すシステムそのものが、実のところ「完成品」であって、
それ単体では音を出すことはできないだけに、アンプも、スピーカーシステムも、CDプレーヤーも、
システムを構築するためのパーツであると考えるならば、オーディオパーツという表現には、
瀬川先生のオーディオに対する考え方が現われている、ともいえるはず。

市販されているアンプやスピーカーシステムを、パーツということに抵抗を感じる方はおられよう。
パーツとは、アンプなりスピーカーを自作するときの構成要素のことであって、
アンプの場合では、トランジスター、真空管、コンデンサー、抵抗、コイル、トランスなどがパーツであって、
アンプそのものはパーツではない、という考え方ははたして正しいのだろうか。

アンプを自作する人がいる。どんなに徹底的に自作するひとでも、トランジスターや真空管は作れない。
コイルはつくれても、コンデンサー、抵抗を作ることも、意外と大変だ。
トランジスターアンプの出力段のパワートランジスターのエミッター抵抗は0.47Ωとか0.22Ωなので、
凝り性の人は自分で巻く人もいるかもしれないが、高抵抗値のものを作っている人はいないと思う。
ここまでやられる人でも、銅線から自分で作る、というわけにはいかない。

つまり市販されているトランジスター、真空管、コンデンサー、抵抗なども、パーツであるとともに、
完成品ともいえるわけだ。
アンプの自作においても、これらの完成品のパーツを買ってきて、それを適切に組み合わせて(設計)して、
組み上げて(作り上げて)いるわけだ。

CDプレーヤー、アンプ、スピーカーシステムを組み合わせてシステムを構築するのと同じことであって、
このふたつの違いは、その細かさ、つまりの量の違いでしかない。

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