オリジナルとは(その13)
ラインケーブル、スピーカーケーブル、それに電源ケーブルも、
使い手が自由に選べる方が、使いこなしの自由度が広くなり、より自分の求める音に近づけることができる、
そういうふうにとらえられがちである。
そういう一面は、たしかにある。ケーブルを交換することを否定はしない。
でもまずは一度ケーブルが付属してくるのであれば、それで接いだ音をきちんと聴いてみるべきである。
コントロールアンプで、ラインケーブルが付属していたとすると、
そのコントロールアンプを送り出したメーカーは、コントロールアンプの領域として、
そのケーブルを含めて考えていることになる。
スピーカーシステムも、スピーカーケーブルが付属してくるものもある。
やはり、これも、そのメーカーのリファレンスということで、たとえそのケーブルが、
いま使っているケーブルと比較して、価格的に安かったり、貧弱そうにみえても、一度そのケーブルで聴いてみる。
電源ケーブルにしても同じことである。
電源ケーブルが着脱式になっているのはだめだとは言わない。
交換できるのであれば、それを積極的に利用するのはいい。ただむやみにやるのはすすめない。
でも、交換できないからと文句をいうのは、考え方・捉え方として、おかしい。
製品を手を加えることに否定的ではない私がいれば、その一方に手を加えることに否定的な人もいる。
でも、その人たちに問いたいのは、あるコントロールアンプを購入したとする。
ケーブルが付属してきた。長さもちょうどいい。
なのにいま使っている他社製のケーブルで使って、そのコントロールアンプをシステムに導入する。
このことは、完成品に手を加えていることにならないのか、と。
これも、私にいわせれば、付属の純正ケーブルをほかのケーブルに交換した時点で、
完成品に手を加えていることになる。
長さが足りなければ、付属してきたケーブルの長いものを購入すればいい。
アンプの天板をとって、中をいじることだけが、完成品に手を加えることではない。
それぞれのオーディオ機器の領域を考えるならば、完成品には絶対手をつけないという人は、
付属ケーブルがあればそれをそのまま使うべきである。
ケーブルがいっさい付属してこないものだったら、自由にケーブルを選ぶのはいい。
だが、くり返すが、付属ケーブルをほかのケーブルに変えることは、完成品に手を加えることになる。
そういう意味では、多くの人が意識せぬうちに完成品に手を加えていることになる。