カザルスのバッハ 無伴奏チェロ組曲(その2)
カザルスによるバッハの無伴奏チェロ組曲は、
SP盤をアクースティック蓄音器でも聴いている。
LPでも、日本盤とイギリス盤で聴いている。
CDを聴いている。SACDも聴いている。
どれが一番だということは、鳴らす機器によっても大きく違ってくることだから、
それぞれが、自分で聴ける範囲で聴いていくしかない──、そうとしかいえない。
3月6日のaudio wednesdayでの、TIDAL(MQA)でのカザルスは、
すでに書いているように私がこれまで聴いた中では最高といえるほどだった。
1936年の演奏(録音)とは、まったく思えなかった。
もちろん最新のデジタル録音のように聴こえてきたわけではない。
冷静に聴けばモノーラルだし、復刻につきもののスクラッチノイズもある。
けれどカザルスのリアリティは群を抜いていた。
正直、ここまで鳴るのか、と困惑も少しばかりあった。
別項で「オーディオはすでに消えてただ裸の音楽が鳴りはじめる」を書いている。
私にとっての「裸の音楽」が、この時のカザルスが最初でないのか。
そんなことを思いながら、ただ聴くだけだった……