ルネ・レイボヴィッツ
René Leibowitz(ルネ・レイボヴィッツ)。
1913年3月17日生れのポーランドの指揮者である。
つい先日まで、ルネ・レイボヴィッツの名前すら記憶になかった。
どこかで目にしたり耳にしたりはしていたのかもしれないが、
記憶にはない。
先日、「手塚治虫 その愛した音楽」というCDを手にとっていた。
ライナーノートに、ルネ・レイボヴィッツの名前が出ているし、
このCDにもルネ・レイボヴィッツのベートーヴェンが収められている。
このCDは聴いてはいないが、ルネ・レイボヴィッツの名前はその場でTIDALで検索した。
それほど数は多くないが、ベートーヴェンもあるし、他の作曲家の演奏もある。
リーダーズ・ダイジェスト・レコーディングスに録音していた指揮者とのこと。
必聴の指揮者、とまではいわないけれど、
ルネ・レイボヴィッツのベートーヴェンは一度聴いておこうよ、というふうに呼びかけたい。
最初は地味と思えた演奏は、聴いていっていると、なかなかいい感じというふうに変っていく。
菅野先生は、
イヴ・ナットに師事していたフランスのピアニスト、ジャン=ベルナール・ポミエの全集について、
ステレオサウンド別冊「音の世紀」で書かれている。
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ドイツ系の演奏も嫌いではないが、ベートーヴェンの音楽に共感するフランス系の演奏家とのケミカライズが好きなのだ。ベートーヴェンの音楽に内在する美しさが浮き彫りになり、重厚な構成感に、流麗さと爽快さが加わる魅力とでも言えばよいか?
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ルネ・レイボヴィッツはフランス系の指揮者ではないが、
ルネ・レイボヴィッツのベートーヴェンにも、なんらかのケミカライズがあるように感じる。
別項「最後の晩餐に選ぶモノの意味(その9)」で、
私にとってドイツの響きといえば、二人の指揮者である。
フルトヴェングラーとエーリヒ・クライバーである、と書いている。
まさにそのとおりなのだが、ルネ・レイボヴィッツのベートーヴェンは、
そういうベートーヴェンとは違う。
違うからダメとかいいとかではなく、
違うことの魅力が《ベートーヴェンの音楽に内在する美しさが浮き彫り》してくれるのだろう。