ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(その7)
別項で「オーディオにおけるジャーナリズム(技術用語の乱れ)」を書いている。
そんなこまかいことどうでもいいじゃないか──、そう思っている人もいるだろう。
チョークコイルをチョークトランスと書いたり、
マッキントッシュのパワーアンプの出力に搭載されているオートフォーマーを、
出力トランスと書く人、
それもわざわざオートフォーマー(出力トランス)と書く人もいる。
さらにひどい人になると、整流コンデンサーと書いたりする。
他にも、こんな例はあるけれど、一つひとつ挙げることは、ここではしない。
けれど、こういった技術用語の乱れは、オーディオ機器の理解を妨げることにつながったりする。
無指向性スピーカーも、まさしくそうである。
ビクターのGB1のような多指向性スピーカーを無指向性と表記する。
GB1も無指向性、ジャーマン・フィジックスのスピーカーも無指向性となってしまう。
なんと乱暴な区分けだろうか。
ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットは、まさしくシームレスの水平方向の無指向性である。
GB1、同じ構成のスピーカーはそうてはない。
もともと指向性をもつスピーカーユニットを複数個、方向を変えているだけなのだから、
しかもそれぞれのユニットから放射された音は互いに干渉するのだから、
とうていシームレスとは呼べない。
なのに無指向性ということで、ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットも、
そういった多指向性のスピーカーとごっちゃに捉える人が実際にいる。
そして、したり顔で、無指向性スピーカーは──、といったりする。
見当違いのことを、無理解によることをいう。