ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(その6)
ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットは、
水平方向の無指向性の放射特性をもつ。
そのため、設置が難しい、狭い部屋では無理で広い空間が必要──、
そんなことがいわれがちである。
けれど鳴らしてみると、そんなことはない。
まったくない、と断言できる。
無指向性のスピーカーは設置が難しい、と思われがちなのは、
ジャーマン・フィジックスのDDD型以前の、いわゆる無指向性スピーカーゆえといっていい。
代表的な例はビクターのGB1がある。
GB1は、球体型エンクロージュアに、13cm口径のウーファーを四発、
7cm口径のトゥイーターを七発収めたモノで、類似の製品は他社からも出ていて、
それらも無指向性スピーカーと呼ばれている。
けれどよく考えてみてほしい。
この種のスピーカーは、ほんとうに無指向性なのかどうかを。
菅野先生は以前から、これらのスピーカーは無指向性ではなく、
多指向性というふうに指摘されていた。
無指向性と多指向性。
似ているけれど、まるで別ものであること。
なので多指向性の印象で、真に無指向性のスピーカーを捉えないことが大切となる。