音響道中膝栗毛(その2)
「(続)音響道中膝栗毛」には、
ステレオサウンドに連載されたものがおさめられている。
伊藤先生の文章とは、伊藤先生のアンプ記事よりも先に出あっている。
中学生のころから読みはじめたステレオサウンドには、伊藤先生の連載があった。
そのころは、伊藤先生がどういう人なのかは全く知らなかったが、
それでも書かれたものを一つでも読めば、
中学生であっても、伊藤先生がどういう人なのかは、直観的につかめていたところがある。
だから、この人の書くものは、きちんと読もう、と思った。
伊藤先生の書かれたものに、最新のオーディオ機器のことは登場しない。
古いオーディオ機器のことが書かれてあるかというと、
こちらもウェスターン・エレクトリックやシーメンスのことがたまに出るくらいで、
そういう文章ではない。
けれど、伊藤先生の文章はオーディオについての文章だった。
伊藤先生の文章を、いつ読むのか。
大人になってから、老いてから読んでもいい。
けれど10代のころに読んでいるのといないのとでは、その後に違いがあるはずだ。
私は運が良かった、とオーディオに関してはそう思う。
オーディオに関心をもつ大きなきっかけが「五味オーディオ教室」だったし、
その後すぐに、伊藤先生の文章を、その時代に読めたからだ。