熱っぽく、とは(その2)
《熱っぽく》に関することで、思い出すことがある。
東京に来たばかりのころ、1981年ごろのことである。
このころ、ダイナミックオーディオにはトートバッグがあった。
並の大きさのトートバッグではなかった。
プリメインアンプがすんなり入る大きさのトートバッグである。
もちろんアンプ一台分の重量に耐えられるだけのしっかりしたつくりでもあった。
いまでは考えられない光景だろうが、
あのころの若者は、アンプを、このトートバッグに入れて持ち帰っていた。
頻繁に見掛けるわけではなかったけど、
秋葉原で何度か、そうやって持ち帰っている人がいた。
あのころはそれが当り前のように受け止められていた。
けれど、普通のことではないわけで、
そこには熱っぽさがあってことのはずだ。
しかもその熱っぽさは伝染していくのかもしれない。