Date: 5月 21st, 2022
Cate: 老い
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老いとオーディオ(とステレオサウンド・その13)

「人は歳をとればとるほど自由になる」
内田光子は、あるインタヴューでそう語っていた。

先月リリースされた内田光子のベートーヴェンのディアベリ変奏曲、
ここでの演奏に耳を傾ければ、内田光子のことばを確かに実感できる。

オーディオ評論家はどうなのだろうか。
歳をとればとるほど自由になっているのだろうか──、とふと思う。

いまのステレオサウンドで書いている人たちは、高齢者といっていい。
内田光子よりも歳をとっている人もいるし、同世代の人もいる。

評論家と演奏家は違う──、
そういう声がきこえてきそうだが、
内田光子は「人は歳をとればとるほど自由になる」といっている。

人は、である。

自由になっていない、と私がそう感じているだけで、
当の本人たちは、歳をとるほどに自由になっている(書いてきている)、
という自覚なのかもしれない。

それでも──、とあえていう。
私が読みはじめたころのステレオサウンドの書き手の多くは、40代だった。
その時代のほうが、ずっと自由であった、と感じている。

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