MQAのこと、オーディオのこと(その8)
1982年にCDが登場した。
その音を、マランツのCD63で初めて聴いた。
これも以前書いていることなのだが、
その時のCD63は、その後市販されたCD63とは音が違う。
あきらかに良かった。
その音だったからこそ、CDの音に拒否をおぼえることはなかった。
とはいえ、同じディスクを、LPで聴き比べると、
可能性への期待ということではCDが圧倒的だった。
聴いたのは「ツァラトゥストラはかく語りき」だった。
こういう曲で、小澤征爾の指揮ということもあって、
よけいにCDがよく聴こえたといえるのだが、
LPとCDの良さがうまく融合した音を、いつか聴けるようになるのだろうか、
そんなこともちょっとだけ思っていた。
それからさまざまなCDプレーヤーの音を聴く機会があった。
可能性をより強く感じることもあったし、
デジタル嫌いの人がいうのもわかるなぁ、ということもあった。
デジタルとアナログの良さが融合したとしよう。
その音は、デジタルにアナログの良さが加わったものなのか、
それともアナログにデジタルの良さが加わったものなのか。
その二つがあるように感じているし、
でも、それでも究極的にそれぞれの良さがくわわれば、
二つの音は限りなく似てくるのだろうか。
まだそんな日は来ないようである。
だから感じているのは、MQAの良さとは、
デジタルにアナログの良さが加わった音である、ということ。
MQAはデジタルの技術なのだから、ベースはデジタルなのだから、
当り前すぎることを言っているわけだが、
それでも、このことはきちんと意識しておかなければならないことのように思っている。
そして、デジタルにアナログの良さが加わった音を、
メリディアンのULTRA DACがMQA再生で初めて聴かせてくれた。