あるスピーカーの述懐(その27)
1980年ごろ、トリオがΣドライブという方式を、
プリメインアンプ、パワーアンプに採用していた。
リモートセンシング技術を応用したもので、
スピーカーケーブルを二組使うことで、NFBループ領域を拡大するものだった。
この時、トリオはスピーカーの逆起電力を測定するために、
特殊なユニットを開発していた。
二組のボイスコイルと磁気回路をもつユニットである。
一つのボイスコイルは通常のボイスコイルで、パワーアンプと接続されている。
その後方にもう一つのボイスコイルがある。
もちろんボイスコイルボビンは同じである。
二つのボイスコイルは連動している。
このボイスコイルが逆起電力の検出用である。
当時の日本のメーカーは、こういうことまでやっていた。
いま思うと、さらにもう一歩突っ込んで、
磁気回路を対称磁界と非対称磁界の両方で作り、
対称磁界と非対称磁界で、逆起電力に変化が発生するのか、
発生するとしたら、どういう変化を示すのか、
そこまで測定してほしかった。