Date: 4月 4th, 2011
Cate: 黒田恭一
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黒田恭一氏のこと(その17)

黒田先生は、ステレオサウンド 54号の試聴で聴かれた45機種のスピーカーシステムのなかで、
ソニー/エスプリのAPM8を、
そのときお使いだったJBLの4343を「出してもいいかな?」まで言われるくらいまで気に入られている。

ちなみにこのときの試聴メンバーだった菅野先生は、KEFの303を挙げられている。
客観的にはJBLの4343Bだけれども、すでにJBLの3ウェイ・システムがあるため、
4343を入れるのは大きくてたいへんだ、ということ、
それに編集部からの質問が「自宅に持ち帰るとすれば」ということもあって、大きさと値段が手頃な303を、
「この音ならば、いますぐお金を払って持ち帰ってもいいくらい」とまで言われている。

瀬川先生は、10点をつけたスピーカーシステム、
KEFの303、105II、JBLのL150、4343Bのうち、KEFの2機種はすでに持っておられる、
JBLは4343を使われているということで、9点のスピーカーシステムのアルテックの6041を、
「いままで私の家にはないタイプの音のスピーカー」ということであげられている。

黒田先生が、4343を出してもいいかな、とまで思わせたAPM8については、
瀬川先生は、価格が半値だったら(つまりペアで100万円)、文句なく10点をつけし、
さらに、「あらゆる変化にこれほど正確に鋭敏に反応するスピーカーはない」、と。
菅野先生も、半値なら10点をつけ、最も印象づけられたスピーカー、といわれている。

これらの発言、それに3人のAPM8の試聴記を読めば、
このスピーカーシステムのもつ高性能ぶりが伝わってくる。

その高性能は、黒田先生のオーケストラの例えでいえば、技量にあたるし、
ウィーン・フィルもベルリン・フィルも技量は高い。
黒田先生が指揮者となって振ってみたいオーケストラとしてあげられたシカゴ交響楽団と、
ウィーン、ベリルンのふたつのオーケストラのどれが最高の技量などということは、
誰にもいえない高みにある。

なのに黒田先生は、シカゴ交響楽団をあげられ、APM8をこのオーケストラにたとえられている。

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