Date: 8月 16th, 2021
Cate: ディスク/ブック
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ソニー・クラシカルのジュリーニ

カルロ・マリア・ジュリーニが、ギュンター・ブレストの招きで、
1989年にソニー・クラシカルに移った時、すこしイヤな予感があった。

ソニーの音で、ジュリーニのよさが活きるのか。
ベートーヴェンの交響曲が最初に出た。
一番と七番のカップリングだった。

もちろんすぐに買って聴いた。
それから続けてベートーヴェンの交響曲が出た。
これらも買って聴いた。

九番は出なかった。
録音の予定はあったようだが、全集完成とはならなかった。

その時は残念とは思わなかった。
ドイツ・グラモフォンから、
ベルリンフィルハーモニーを指揮しての素晴らしい第九がでていたからである。

理由はそれだけではなく、ソニー・クラシカルの録音に満足できなかったこともある。
これがひどい録音ならば、あきらめもつくのだが、大きな欠点がある録音ではない。

優秀な録音なのだろうが、何かが欠けている感じがつきまとう。
それかジュリーニの良さを捉え切れていない(活かし切れていない)ように感じられる。

演奏もすこし精彩を欠くようにも感じられた。
とにかく、聴いていてもどかしい。
それをどうすることもできない。

ソニー・クラシカルに、ジュリーニは、いい演奏を残している。
なのに夢中になれない。

TIDALでソニー・クラシカルがMQA化に積極的である。
ジュリーニに関しても、MQAが出ている。
そしてやっとベートーヴェンが出た。

1990年前後の録音だから、44.1kHzでの録音である。
けれど、MQAで聴くソニー・クラシカルのジュリーニは、みずみずしい。
量感もきちんとある。

CDで聴いた時に感じた欠けているものが、MQAで聴いていると明らかになる。
そして、ソニー・クラシカルでも第九を録音してほしかった……、
いまそう思っている。

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