On My New Piano
2015年に、バレンボイムが考案した構造のピアノで録音する、というニュースは、
なにかで読んで知っていた。
2016年に、“On My New Piano”が出たの知っていた。
けれど、今日まで聴いていなかった。
理由は、ほかの人からすれはどうでもいいことだ。
バレンボイムかあまり好きじゃないこと、
なんとなくアルバムのタイトルがいいとは思わなかった──、
そんなくだらない理由で聴かなかった。
“On My New Piano”で使われているピアノは、
すべての弦を平行に張っている。
低音弦と中音弦を交差させることなく張る構造で音の濁りをなくしている、とのこと。
理屈からいっても、そのはずだ。
上下で低音弦と中音弦が交差していないのだから、干渉は大きく減る。
それでも聴きたい、と強く思わなかったのは、収録曲目にもあった。
スカルラッティのソナタ、ベートーヴェンの創作主題による32の変奏曲、
ショパンのバラード第一番、リストである。
“On My New Piano”はTIDALで聴いた。
TIDALでは、MQA Studio(96kHz)で聴ける。
一曲目のスカルラッティのソナタ K.159の冒頭からして、
ピアノの響きがまるで違う。
これを聴くだけで、“On My New Piano”というタイトルにした理由がわかる。
最後まできいたあと、好奇心でMQAでない、一般的なPCMだとどう鳴るのか。
TIDALには、両方ある。
小さくない違いがある。
私の耳には、バレンボイム考案のピアノの良さがいきているのは、MQAだと感じる。
けれど、人によっては、MQAでないほうがクリアーというかもしれない。
そういう人がいても不思議とは思わない。
そういう人に対して、あれこれいうのはやめにする。
私は、“On My New Piano”をMQA Studioで聴いてよかった、と思っている。
2016年の時点では、通常のCDで聴くことになった。
MQAては聴けなかった。
“On My New Piano”の発売時にあまり関心をもたなかったことが、
結果としていい方向に働いてくれた。