Date: 4月 11th, 2021
Cate: ディスク/ブック
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クルレンツィスのベートーヴェン(その2)

カザルス/マールボロ音楽祭管弦楽団のベートーヴェンでは、
四楽章の途中で、指揮棒が譜面台に当る音がする。

クルレンツィスのベートーヴェンがそこのところにきたとき、
その音がしない、とおもってしまった。

するはずがないのに、そうおもってしまった。
これまでかなりの数のベートーヴェンの七番を聴いてきている。

一度も、そんなことをおもったことはなかった。
思うはずがないのに、今回はそうおもっていた。

カザルスとクルレンツィスは、ずいぶん対照的でもある。
まず年齢が大きく違うし、二人の体形もずいぶん違う。
オーケストラの成り立ちも違う。

カザルスのベートーヴェンとクルレンツィスのベートーヴェンは、
二人の体形の違いのようなところがある。

にもかかわらず、四楽章の途中でそんなことを感じていた。
なぜ、そんなふうに感じたのかはいまのところなんともいえないのだが、
ひとついえそうなことは、二人のベートーヴェンは自由である。

ここでの自由は、好き勝手やっているという意味では当然ない。
自分自身にとても率直である、という意味での自由である。

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