時代の軽量化(その13)
時代の軽量化をいうことを、なんとなくではあるが考えるようになったのには、
小さなきっかけがある、といえばある。
オーディオの才能と資質についてぼんやり考えていた。
いま、私と同じだけの、オーディオの才能と資質をもつ若い人がいた、としよう。
20代でも10代でもいい。
その人が、これから先、どんなにかんばっても、
私とおなじにはなれないだろう、というよりもなれない、と断言できる。
それは私が恵まれていたからだ。
あの時代に10代だった、ということ。
ぎりぎり10代のうちに、ステレオサウンドで働くようになったこと。
これから先、
私と同じくらいの若さでステレオサウンドで働くようになる人は現れるかもしれない。
それでも私がいたころといまとでは、大きく違いすぎる。
あのころいた人たちは、もうみないなくなってしまった。
井上先生も、上杉先生も、岡先生も、黒田先生も、
菅野先生も、長島先生も、山中先生も、みないない。
岩崎先生、五味先生とは会えなかった。
瀬川先生とはステレオサウンドでは会えなかったけれど、
熊本のオーディオ店でも何度も会えた。
ほんとうに、みないない。
どれだけオーディオの才能と資質に恵まれていようと、
それだけでは、もう無理なのだ。
REPLY))
家電化する前のオーディオを見てきた人はもういないでしょうね。