老いとオーディオ(とステレオサウンド・その1)
1966年に創刊したステレオサウンドは、2016年に創刊50年を迎えた。
今年は2020年。六年後の2026年には創刊60年になる。
そのとき、いまのレギュラー筆者、
いいかたを変えれば、ベストバイ、ステレオサウンド・グランプリの選考委員の人たちは、
いったいいくつになっているのかを、ちょっと想像してみてほしい。
柳沢功力氏は88歳、傅 信幸氏は75歳、黛 健司氏は73歳、
三浦孝仁氏と小野寺弘滋氏が何年生れなのかははっきりと知らないが、
私よりも少しだけ上のはずだから、63歳よりも上になっている。
みな健在であれば、
六年後のベストバイ、ステレオサウンド・グランプリの選考委員をやっているはずだ。
私が最初に手にして読み始めたステレオサウンドは41号だから、
この時、菅野先生、長島先生、山中先生は44歳で、瀬川先生は41歳だった。
私は13歳で、それがいまでは57歳だから、みなそれだけ齢をとるわけだが、
それにしても41号のころのレギュラー筆者の平均年齢と、
いまのレギュラー筆者の平均年齢の差は、やはり大きすぎないだろうか。
だからといって、いまのレギュラー筆者(選考委員)は年寄りばかりで、
ダメだなんていうよりも、
このことを異状と感じてない人たち(つまりはステレオサウンドの読者)がいることこそ、
実のところ異状だといいたいのだ。
趣味の雑誌で、こういう例は他にあるのだろうか。
書き手の平均年齢が年々高くなっていく。
そのことを、記事の内容が円熟している、といいながら喜ぶのか。
それが当然のこと、と受け止めるのか、
それとも異状なこととして危機感を、どこかにもって読むのか。