世代とオーディオ(若い世代とバックナンバー・その6)
(その2)で書いている若い人が、雑誌の古いバックナンバーを読む、という行為は、
ますます彼自身の視野を狭くしていくことのようにも思えてならない。
雑誌のバックナンバーを読むことは、
すでに書いているが、決して悪いことではない。
基本的にはいいことだ、と思うけれど、それにはいくつかの条件がつく、と私は思っている。
一冊、二冊……、その程度のバックナンバーを読んで、
わかったようなツラをする人がいるけれど、
ほんとうに、その時代の空気を、バックナンバーからきちんと読みとりたければ、
一年分とはいわない、もっともっと読むべきである。
十年分ぐらいのバックナンバーをきちんと読むべきである。
完全にバックナンバーを揃えておくべき、とはいわない。
数冊程度欠けていてもいいから、十年分くらいのバックナンバーには目を通すべきだし、
それは一つの雑誌だけでなく、
オーディオマニアであるならば、
オーディオ雑誌、それからレコード雑誌をそれぞれ数冊を十年分くらい、である。
視野の狭い若い人が、わずかな冊数のバックナンバーを読んで、
わかった気になっている。
趣味の世界だから、それでもいいじゃないか──、
そういえなくもないわけだが、
不思議なことに、そんな人に限って、わかったようなツラをして、老成ぶっている。
そして、なにかいっぱしのことをSNSとかに公開しているから、
なんだろうな……、と思ってしまうわけだ。
本人は視野を広くしているつもりなんだろうが、
この人は、自分の視野の狭さ(偏り・依怙地さなど)をますます確固たるものにしたいのか、
そんなふうに見えてしまう。
それにしても、なぜ老成ぶるのか。
自分より上の世代に認められたいからなのか。
他になにか理由があるのか。
もしかすると、その若い人は、老成ぶることが目的、
もしくは趣味なのかもしれない。
そのための手段としてのオーディオという趣味というふうに捉えると、合点がいく。
これも、趣味としてのオーディオのありかたの一つなのか。