オーディオ・システムのデザインの中心(その28)
別項「オーディオがオーディオでなくなるとき(その9)」で書いたことを、くり返す。
マッキントッシュのゴードン・ガウの言葉だったと記憶している。
「quality product, quality sales and quality customer」だと。
どれかひとつ欠けても、オーディオの世界はダメになってしまう、と。
quality product(クォリティ・プロダクト)はオーディオメーカー、
quality sales(クォリティ・セールス)はオーディオ店、
quality customer(クォリティ・カスタマー)はオーディオマニア、
そういうことになる。
ステレオサウンドのウェブサイトの記事にある人、
大阪ハイエンドショウでE800の音を聴いて予約した人は、quality customerといえるのか。
アキュフェーズにとっては、すぐさま予約してくれる人、
しかもE800はプリメインアンプとしては高級品であるから、
そういう人は、いいお客さんであるはずだ。
いいお客さんが、quality customerかといえるかといえば、微妙でもある。
E800の音はいいのだろう。
インターナショナルオーディオショウで、
E800がファインオーディオのF1-12を鳴らしている音は聴いている。
短い時間だったが、まともな音で鳴っていた。
アクシスのブースでFMアコースティックスで鳴らした音を聴いた直後だっただけに、
印象にあまり残っていないということはあるが、
アキュフェーズらしい音であったし、きちんとした条件で聴いたら、
かなりいい評価をする可能性もある。
音はいいはずである。
少なくとも悪くはないはずだ。
だからしつこいぐらいに E800のプロポーションについて書いている。
音がよければ、それで満足するのか。
すぐさま予約することは、メーカーにとって、ほんとうにいいことなのか。
E800が売れた、としよう。
かなりのヒット作になれば、
アキュフェーズは、これからのアンプのデザインをどう考えていくのか。
quality productは、音さえ良ければ、優れていれば、それでいいのか。