オーディオ・システムのデザインの中心(その29)
トリオのL07Cのことでは、瀬川先生の存在があった。
トリオの重役から、《殴りたいほど口惜しいよ》といわれるほどに書かれていた。
瀬川先生があれだけ書かなければ、L07CIIはL07Cと同じデザインだったであろう。
アキュフェーズのE800はどうか。
瀬川先生はいない。菅野先生もそうだ。
オーディオ評論家の誰も、E800のプロポーションのひどさについて書かないであろう。
ラックスのアンプのプロポーションに関しても、
それを擁護するようなことを書く人はいたが、プロポーションについて批判的なことを書く人は、
私が知る限り、誰もいなかった。
エソテリックのデザインに関しても、そうである。
むしろ褒める人がいる。
E800は12月発売のステレオサウンドに登場することはまちがいない。
ベストバイに選ばれるはずだし、ステレオサウンドグランプリでもそうであろう。
そこでE800のずんぐりむっくりのプロポーションについて触れる人はいるのか。
やんわりとでもいい、苦言を呈す人はいるだろうか。
後二週間ほどで、それははっきりする。
メーカーにとって、輸入元にとって、都合の悪いことは黙っておく方が、
オーディオ評論家(商売屋)にとっては都合がいい。
でも、それでいい、と本音で思っているのか、と問い質したい。
一人でも多くquality customerを増やしていくことを、
オーディオ評論家の役目だとは思っていないのか。
quality customerがいなくなることはない。
すでにE800のプロポーションのひどさにがっかりしている人たちはいる。
それでもquality customerではない人たちが増えてくれば、
メーカーはどうなっていくであろうか。