2,500,000円と125,000円(その9)
音を聴いて、あるオーディオ機器を評価する。
オーディオマニアならば、みな行っている。
けれど、そこでの評価の仕方は、人によって違うこともある。
評価の結果が違う、というよりも、
どこを聴いているのか、という意味での評価の仕方である。
オーディオ機器の開発に携わっている人ならば、
プロトタイプを聴く機会はあたりまえのようにあるわけだが、
オーディオマニアが聴くのは、ほとんど製品化されたオーディオ機器である。
出てきた音がすべて、とよくいわれる。
確かにそうではある。
けれど、その出てきた音に何を聴くのか。
そのオーディオ機器の可能性を、出てきた音に聴くことだってある。
オーディオ機器の比較試聴をして、
どちらのオーディオ機器が優れているか、
自分の好みにあっているか、
そういう評価の仕方をすることもあれば、
常にオーディオ機器は商品でもあるから、
可能性の方を優先しての評価をすることだって、私の場合ある。
別項「EMT 930stのこと(ガラード301との比較・その11)」で、
アキュフェーズのDP70とスチューダーのA727を、
ステレオサウンドの試聴室でじっくりと比較試聴したことを書いている。
そして、私はA727を選んだ。
その理由も、そこに書いてるが、書いていない理由もある。
それが、可能性をどう評価しての選択の結果である。