EMT 930stのこと(ガラード301との比較・その11)
同じことはCDプレーヤーに関しても、いえた。
スチューダーのA727を買う時に、気になっているCDプレーヤーがあった。
アキュフェーズのDP70だった。
DP70は430,000円だった。
A727とほぼ同じだった。
どちらもバランス出力を持っている。
片やプロフェッショナル用CDプレーヤー、
もう片方はコンシューマー用CDプレーヤーと、はっきりといえた。
ステレオサウンドで働いていたから、じっくりと試聴室で聴き比べた。
DP70にかなり心は傾いたのは事実だ。
情報量の多さでは、DP70といえた。
けれど、A727に最終的に決めたのは、音のデッサン力、音の構図の確かさである。
瀬川先生がステレオサウンド 59号で、
ルボックスのカセットデッキB710について書かれていることは、ここでも当てはまる。
国産カートリッジと海外製カートリッジ、
国産カセットデッキ、テープと海外製カセットデッキ、テープの音の描き方の根源的な違い、
それはDP70とA727にもあり、
そこにコンシューマー用とプロフェッショナル用の違いが加わる。
何を優先するのかは人によって違う。
だから、DP70とA727を比較して、DP70を選ぶ人もいてこそのオーディオの世界である。
A727に感じた音の構図の確かさは、フィリップスのLHH2000にもあったし、
A727の後に登場したA730も、まったくそうだ。