Date: 9月 5th, 2019
Cate: High Resolution
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MQAのこと、音の量感のこと(その2)

音の量感という表現は、もうずっと以前から使われてきている。

質と量。
質感と量感。

わかりやすいはずの量に関することであっても、
そこに感がつくと、わかりやすいとはいえなくなっていることに、
どれだけの人が気づいているのか、と疑問に思うことが、むしろ増えてきている。

特に低音の量感とでもいおうものなら、
こちらが意図するのと真逆の印象で受けとられることだってある。

ひどくなると、トーンコントロールで低音をブーストすることイコール低音の量感、
そんなふうに捉えている人すらいる。

ステレオサウンド 55号のプレーヤーの比較試聴記事で、
《中音域から低音にかけて、ふっくらと豊かで、これほど低音の量感というものを確かに聴かせてくれた音は、今回これを除いてほかに一機種もなかった》
と瀬川先生は、EMT 930stについて書かれている。

930stの音を、量感について誤解している人は、ぜひ聴いてほしい──、
と以前は、そう思っていた。

とはいえ、このころでも、930stは、どこかへ行けば、すぐに試聴できるというわけではなかった。
自分で購入するか、友人・知人のオーディオマニアが持っていれば、そこで聴くか、
そのぐらいしか機会はなかった。

それでも930stを、きちんとした状態で聴いてから、音の量感について語ってほしい、
そう思い続けていた。

930stは遠の昔に製造中止になっている。
そうなると、930stを聴いてみてほしい、とは、もういえない。

仮にいまも930stが現行製品だとしても、そうとうに高価だろうし、
そう簡単に聴けるわけではないだろう。

もっと身近で手頃で、しかも、誰が聴いても(鳴らしても)、ほぼ同じに鳴ってくれる──、
この難しい条件を、MQAは満たしている、といえる。

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