メリディアン ULTRA DACを聴いた(その34)
初期のCDプレーヤーに、ほぼ共通していえたのは、
音の伸びやかさに欠ける、というか、窮屈さを感じてしまうことである。
その原因についてあれこれいわれていた。
そのひとつがアナログフィルターの存在である。
デジタルフィルターを搭載していないCDプレーヤーでは、
かなり高次のハイカットフィルターが必要となる。
ソニーでいえば、CDP101は9次で、CDP701ESは、
ソニーのプロ用CDプレーヤーCDP5000と同じ11次のフィルターになっている。
そうとうに急峻なフィルターである。
高次になればなるほど部品点数は増えるし、
精度の高いフィルターを実現するには、細かな配慮も必要となる。
コストも当然かかるようになる。
デジタルフィルターを採用すれば、アナログフィルターはもっと低次のもので済む。
設計も楽になるし、部品点数も少なくなる。
なにより高次のフィルターよりも、低次のフィルターのほうが、音への影響は少なくなる。
デジタルフィルターとアナログフィルターとの併用で、
高次のアナログフィルターだけと同等か、それ以上のフィルター特性を実現できれば、
メーカーがどちらを選択するかは明らかだ。
それにアナログフィルターを構成する部品は、
量産したからといってさほどコストダウンは狙えない。
デジタルフィルターはLSI化されているから、量産効果ははっきりと出る。
1988年、デジタルフィルターを搭載していないCDプレーヤーはなかったはずだ。