MQAのこと、349Aプッシュプルアンプのこと
別項「Western Electric 300-B(その14)」で、
伊藤先生による349Aプッシュプルアンプの、
音楽がデクレッシェンドしていくときの美しさについてふれた。
このデクレッシェンドしていく音の美しさは、その後、一度も聴いていない。
伊藤先生の349Aアンプだけの音だったのか──、
もうそう思うしかなかった。
349Aプッシュプルアンプを聴いて三十年以上経った。
やっと出逢えた。
すべてが違うシステムであったにも関らず、
あのときの音、デクレッシェンドしていく音の美しさにはっとした。
それが2018年9月のaudio wednesdayで、初めてULTRA DACでMQA-CDを聴いた音である。
すべてのディスクがそんなふうに鳴ってくれたわけではない。
あるディスクの、あるところだけがそう鳴ってくれた。
私は、それで充分である。
鳴らせるという確信が得られたのだから。