オーディオ評論家の「役割」、そして「役目」(その22)
瀬川冬樹からオーディオ評論は始まった、と書いた。
この項を書いていくごとに、そして瀬川先生の「本」づくりにとりかかっていると、
そのことを以前以上につよく感じる。
けれど瀬川冬樹ひとり、だけでは、もちろんない。
才能のぶつかり合いのできる相手に恵まれ、
ぶつかり合う場(ステレオサウンド)があった。
ステレオサウンド登場以前には、瀬川先生の上の世代のオーディオ研究家の方たちがおられるし、
そしてなによりも五味先生の存在が、もう一方の極にある。
淺野勇、伊藤喜多男、加藤秀夫、今西嶺三郎、岡原勝、といったオーディオ研究家の方々という「土」、
五味康祐という「水」があり、瀬川冬樹という「芽」があらわれた。
こういう偶然と必然があったからこそ、「瀬川冬樹からオーディオ評論は始まった」。