バックハウスのベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集
バックハウスは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタを二回録音している。
4月に二回目の録音が、シングルレイヤーのSACDで出る。
(29番のみ二回目の録音は未了のため、一回目のモノーラル録音が使われている)
今年はバックハウス没後50年、デッカ創立90周年ということでの限定発売のようだ。
バックハウスのベートーヴェンがSACDで聴ける日が来るとは、まったく期待していなかった。
私が20代前半のころ、
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集はいくつかあった。
バックハウスのがあったし、
グルダ、アシュケナージ、ブレンデル、シュナーベル、ナットなどの全集があった。
シュナーベルの録音はかなり古い。
ナットの録音は、シュナーベルほど古くはないがモノーラルだった。
ステレオ録音となると、バックハウスによる全集が、
そのころの私には輝いて見えていた。
いつかはバックハウスの全集を……、そう思いつづけていた日がある。
なのに、なぜか買うことはなかった。
もちろんバックハウスのベートーヴェンの後期のソナタに関しては買った。
けれど全集となると、CDではそれほど高価でもなかったにもかかわらず、手が伸びなかった。
今回のSACD全集を逃してしまえば、
バックハウスの演奏でベートーヴェンのソナタをすべて聴くことはなかろう。
今回の最後の機会だとおもっている。
これまで頻繁に聴いてきた、とはいえないが、
それでも20代のころから聴いてきているのが、
バックハウスによるベートーヴェンの後期のソナタである。
それでもひさしく聴いていない。
だからこそおもうところがある。