世代とオーディオ(その表現・その3)
別項『「新しいオーディオ評論」(その12)』で、
①替えの利かない〝有能〟
②替えの利く〝有能〟
③替えの利かない〝無能〟
④替えの利く〝無能〟
と書いた。
これを正方形の四つのマス目に並べる。
②①
④③
こんなふうになる。
上段の①と②は有能、下段の③と④は無能、
左側の①と③は替えの利かない、右側の②と④は替えの利く、となる。
替えの利く利かないは、別の言葉にすれば、特別と普通である。
①と③が特別、②と④が普通。
こう考えたとき、(その2)で書いているフツーが何を指しているのかがわかった。
フツーにかわいい、とか、フツーにおいしい、とか、
そんな表現を聞くようになった。
なぜおいしい、かわいいにフツーをつけるのかが理解に苦しむところだった。
けれど替えの利く利かないをここにあてはめると、
フツーにおいしい、とか、フツーにかわいいなどは、
いわゆる替えの利くおいしさ、かわいらしさということなのだろう。
フツーに、という表現を使っている人たちが、そこまで意識しているのかどうかはわからないが、
無意識に、そういうことだ、と感じとっているのだとしたら、
この「フツーに」はなかなかどころか、そうとうに興味深い。