「新しいオーディオ評論」(その12)
三ヵ月ほど前に「左ききのエレン」というマンガについて書いた。
毎週土曜に公開される。
このあいだの土曜日に56話が公開になった。
そこにこんなページがある。
あるデザイン事務所で、先輩が後輩に説教する。
サラリーマンには4種類いる、と。
①替えの利かない〝有能〟
②替えの利く〝有能〟
③替えの利かない〝無能〟
④替えの利く〝無能〟
この中で、会社に一番必要な人材はどれか、と後輩に質問する。
答は②の替えの利く〝有能〟である。
「左ききのエレン」はマンガだから、
①〜④には、それぞれイラストが付いている(すべてスターウォーズのキャラクター)。
①はダースベイダー、②と④はストームトルーパー(②は武器を所有している)、
③はC3POである。
つまり②は④の上位互換で、④を②のレベルまで育ててくれる、ともある。
②は量産できるというわけだ。
私が熱心に読んでいたころのステレオサウンドは、
①替えの利かない〝有能〟な書き手たちがいた。
五味先生がまずそうだった。
岩崎先生、瀬川先生、菅野先生、井上先生、
他にも私が先生とつけて呼ぶ人たちがいた。
①替えの利かない〝有能〟な人たちだったから、その喪失感も大きい。
岩崎先生が亡くなり、五味先生、瀬川先生──と続いた。
この時、ステレオサウンドの原田勲氏は何を考えたのか。
替えの利かない〝有能〟な人たちに依存していたら、先はない、ということではないのか。