現代真空管アンプ考(その25)
無線と実験、ラジオ技術には、毎号、真空管アンプの製作記事が載っている。
この二誌以外のオーディオ雑誌にも、真空管アンプの製作記事が載ることがある。
トランスにはシールドケースに収納されているタイプと、
コアが露出しているタイプとがある。
シールドケースに入っているタイプだとわかりにくいが、
コアが露出しているタイプを使っているアンプ、
それもステレオ仕様のアンプだと、出力トランスの取り付け方向を見てほしい。
きちんとわかって配置しているアンプ(記事)もあれば、
無頓着なアンプも意外と多い。
EIコアのトランスだと、漏洩磁束の量がコアの垂直方向、水平方向、
それに巻線側とでは、それぞれに違う。
そのことを忘れてしまっている製作例がある。
複数のトランスが、一つのシャーシー上にあれば、必ず干渉している。
その干渉をなくすには、トランス同士の距離を十二分にとるのがいちばん確実な方法だ。
けれどこんなやり方をすれば、アンプ自体のサイズがそうとうに大きくなるし、
それに見た目も間延してしまう。
それにトランス同士の距離が離れれば、内部配線も当然長くなる。
どんなワイヤーであってもインダクタンスをもつ。
そうであれば高域でのインピーダンスは必然的に上昇することになる。
配線の距離が長くなるほど、インピーダンスの上昇も大きくなるし、
長くなることのデメリットは、外部からの影響も受けやすくなる。
NFBを、出力トランスの二次側からかけている回路であれば、
NFBループ内のサイズ(面積)が広くなり、このことにも十分な配慮が必要となる。
配線の長さ、仕方によるサイズの変化については、以前書いているので、ここでは触れない。