日本のオーディオ、これから(その10)
(その9)を書いたのが四年前。
2014年の9月にテクニクス・ブランドが復活している。
2016年にはヤマハがNS5000の販売を開始した。
ヤマハもテクニクスもインターナショナルオーディオショウに出展するようにもなった。
アキュフェーズ、ラックス、マランツ、デノン、エソテリック、フォステクス、TAD、
これらのメーカーも健在である。
インターナショナルオーディオショウではないが、OTOTENにも、
いくつものオーディオメーカーが、(その9)を書いたあとに登場したメーカーも出展している。
けっこうなことじゃないか、と素直に喜びたいのだが、
ほんとうに喜べる状況なのだろうか、ともおもう。
テクニクスの、この四年間の新製品、
特にアナログプレーヤーのSL1200、SP10の現代版は、
オーディオ雑誌、オーディオ業界だけのニュースではなく、
もっと広いところでのニュースとなっている。
復活したテクニクスを率いている小川理子氏は、メディアによく登場されているし、
本も出されている。それだけ注目されている。
これもけっこうなことじゃないか、と素直に喜びたいのだが、
ほんとうに喜べる状況なのだろうか、このことについても、そうおもう。
ヤマハのNS5000は、このブログでも書いているように2015年にプロトタイプが、
インターナショナルオーディオショウで登場した。
音も聴くことができた。
プロトタイプのNS5000の音に期待がもてた。
けれど製品としてできあがったNS5000の音に、私はがっかりした。
プロトタイプに感じた良さが、製品版からは感じられなかった。
もっとも世評は高いから、それはそれでいいのだろう。
結局、ヤマハはNS1000Mを超えるスピーカーをつくれないのか、と思ってしまう。
もちろんNS5000の方が、NS1000Mよりもいい音と評価する人は大勢いることだろう。
それでもNS1000Mを超えられない、と思ってしまうのは、
NS5000に新鮮さとか驚き、といったことを感じられないからだ。
少なくともプロトタイプには、それらはあった、と感じている。
同じことはテクニクスにもいえる。
SL1200、SP10の現代版をみても、新鮮さ、驚きは悲しいかな、感じられなかった。